【iPad導入事例】<第2回 運用編>「GIGAスクール構想」福井市内の小中学校全74校、約2万台のICT端末(iPad)を導入

タブレットPCを触操作する子どもの手の写真

福井市教育委員会様

文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」は、新型コロナウイルス感染症の拡大により計画が早まり、行政や学校現場も対応に追われました。福井市教育委員会でも、市内の小中学校全74校、約2万台のICT端末を導入することになり、三谷商事がiPadを導入いたしました。

導入メンバー集合写真

(左から)

福井市教育委員会事務局長 学校教育課
指導主事  畑田 耕佑 氏

テクニカルソリューション部 辻 俊一郎

三谷商事株式会社 情報システム事業部
公共システム営業部  秋田 直希

【第2回】iPadの運用について

iPadの運用については学校や行政で、現在でもさまざまな議論が行われています。学校と家庭での利用や管理方法、さらには年齢による利用方法の違いや指示の方法なども課題です。

機器使用に関わる注意点は、文科省に準じた決まりやルールを市から配布し、それに沿って各学校で対応していただいています。同意書なども学校で若干異なる部分はありますが、今後統一を図る予定です。ただし注意を伝える際、例えば使用時間や体への影響についての理解は小・中学生では理解の差もあるので、学校で噛み砕いて知らせる必要があります。端末の持ち帰りについても、福井市は学校の立地や規模がさまざまで状況が異なるため、各学校長の判断にゆだねています。自宅であっても学習目的以外の使用は禁止で、子どもの使用に限定しています。フィルタリングをかけた状態で、URLの制限などもあります。

(秋田)

iPadは故障が少なく、故障の大半は画面割れです。低学年では野外の観察などで落とすことが多いそうですが、福井市様の故障率は低く、丁寧に使っていただいているのだと思います。児童生徒のパスワードやパスコード忘れは学校で管理されていることもあり、ほとんどありません。

会議をしている写真

パスワードなどは、学校で管理していますが、もしわからなくなった場合は、教育委員会や福井市に4名いるGIGAサポーターが対応します。対応できないシステム的なものは三谷商事さんにお願いします。
基本的に学習でしか使用しないので、写真・動画は端末内で管理し、不要になったら消去します。小学1年生時に貸与した端末は6年生まで使用します。中学校は3年間で、アカウントも小中学校それぞれの期間、同じものを使用します。卒業後返却された端末は初期化して新入学生に渡しますが、耐久性もあるので、今後は小学校6年間使ったものを次に使うのは難しいかもしれません。iPadで撮った写真で残しておきたいデータはクラウド上にも置いておきますが、本当に必要なものは個人情報の観点から学校のファイルサーバーに保存します。その管理は三谷商事さんにお願いしているので、不具合が起きた場合でも安心です。

初期化作業は3、4月の忙しい時期になりますが、作業が必要な端末を教育委員会が回収し、GIGAサポーター4人が春休み中にセッティングして新学期に間に合うよう配布します。もちろん、故障機の対応は随時行っています。

会議をしている写真

PC教室との使い分けについては、iPadは調べ学習を中心に必要に応じて使用、PC教室は技術の情報に関する授業で使用します。WordやExcelはiPadのOffice365では使いにくい面もありますし、WindowsのOSでないと使えないソフトがあるとも聞いています。GIGAのネットワークでどこの部屋でもさっと使えるのがiPad、少し特化した教育に使用するのがPCという感じですね。
端末の活用が、今後重要な課題です。世代によってICTは不得意な先生もいますし、これまでの紙から変換するためには支援も重要です。ICTは日々進化しているので、管理する側としてもついていくのが大変です。技術的なフォローアップはほしいですね。また今は余剰機がありますが、これはいつまでも続かない。金銭的な補助も必要になります。
何より、学校も行政側もマンパワーが全く足りていません。現在福井市には2人のICT担当者と、4人のGIGAサポーターがいます。三谷商事さんのサポートもあり、福井県内では恵まれている方なのですが、実際はもっと必要だと感じます。他県では同じ規模で、担当者が10人というところもあるそうで、自治体間の開きは大きく、私も管理の方で手が取られて、活用法などを進められていない現状はあります。本来は端末をどう生かせるかを考えるのが仕事なのですが……、同様な自治体は多いと思います。

行政の職員も異動があり、業務を分担して回り始めても、入れ替わりで経験の浅い人がまた1から始めることになる。きっとどこも同じでしょうけれど。それでもICT専任の担当者がいない市町もあるので、福井市の2人というのはありがたいです。国はICT人材への補助は出していないので市町も予算の捻出が難しいと思います。
こうした中でも福井県のアンケートでは、端末の利用状況は週3回以上の使用が8割以上という結果が報告されています。昨年度全中学校にiPad配布が完了し、さらに使用頻度は増える傾向にあります。内容については、AIドリルは業者からのフィードバックがあるものの、紙教材との併用もあって学校や市町独自のデータ集計は行っていません。しかし今後は検討課題となるでしょう。
端末には教育委員会の方で選定したアプリが最初からセットしています。新たな希望があれば学校から申請してもらい、検討の上許可しています。利用料がかからないことなどいくつか条件はありますが、授業に役立つものはどんどん使ってほしい。ただ学校ごとに使用するアプリが違うと、異動のたびに先生が戸惑う懸念もあり、実際にそういった声も聞きます。福井市全体でアプリの検討委員会が持てればよいのですが、現状ではなかなか手が回りません。小学校51校、中学校23校で、児童生徒数も違うため活用状況もさまざまです。研究会ではICTについての発表なども行っていますが、まだまだ改善が必要です。

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