【iPad導入事例】<第3回 活用編>「GIGAスクール構想」福井市内の小中学校全74校、約2万台のICT端末(iPad)を導入

タブレットにペンでお絵描きをする子どもの写真

福井市教育委員会様

文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」は、新型コロナウイルス感染症の拡大により計画が早まり、行政や学校現場も対応に追われました。福井市教育委員会でも、市内の小中学校全74校、約2万台のICT端末を導入することになり、三谷商事がiPadを導入いたしました。

導入メンバー集合写真

(左から)

福井市教育委員会事務局長 学校教育課
指導主事  畑田 耕佑 氏

テクニカルソリューション部 辻 俊一郎

三谷商事株式会社 情報システム事業部
公共システム営業部  秋田 直希

【第3回】iPadの活用について

iPadを学習で効果的に活用するためには、端末やアプリの使い方が重要です。よりよい学びを実現するために、教育や行政の現場では試行錯誤が続いています。

会議をしている写真

P端末の有効活用のための付属品は、個人で準備していただいています。タッチペンは充電機能がないものを価格や使いやすさを考えて自分で選んでもらっていますが、学校で一括して準備されているところもあります。色塗りやお絵描きもそうですが、デジタル教科書の中の「マイ黒板」に書き込んだり印をつけたりする時に必要です。特に小学1、2年生は文字入力ができないので、使うシーンは多いですね。ローマ字を習う3年生の2学期頃からはローマ字入力に移行するので、ここからはキーボードが活躍します。壊れにくくて、カバーと一体になっているものが便利です。

授業支援アプリは、OfficeのTeams、Goodnotes、Apple Classroomなどを、学校やグループ単位で活用されているようです。ドリル教材は小学校ではスマイルネクストの利用率高いようですが、費用は自己負担になります。中学校は昨年度まで、市が選定した5社のAIドリルの中から選択して使ってもらいました。今年も使用を希望する場合、費用は自己負担になりますが、23校中10校程度、継続しています。
先生方の異動も考えると、全校で同じアプリやAI教材を入れた方が効率が良いのはその通りです。ただドリルを出す会社によって問題の記述などもさまざまで、使い勝手も違います。紙のドリルも中学校では校内の教科会で決めていて、学校ごとに使用する会社は違います。小学校の漢字ドリルなど、学年によって会社が違うこともあります。子どもが理解しやすいもの、書きやすいものを選ぶには、現場の先生方の肌感覚が大事。学校ごとに子どもの状況も違うためそれに合わせて選ぶ、というのはデジタルも同様という理解です。
ただ個人的に思うのは、現在福井市には子どもたちの意見を集めて共有化するツールがないので、それと合体したAIドリルがあるといいなと思います。そうすれば子どもたちの意見を集計して瞬時に反映できます。学習ドリルは学校のテスト作成などの関係もあり教育委員会で決めるのは難しいのですが、AIドリルについては一括して入れてほしいという要望もあります。実現すれば異動先でもスムーズに使用でき、先生方の働き方も、もっと安定するかもしれません。

会議をしている写真

学校内の授業以外でのiPad活用の場面としては、校外学習や修学旅行など。例えば越前和紙の里やタケフナイフビレッジなど、校外学習に持参して職人さんたちの作業を動画で記録する。また新幹線開業に伴い福井市の魅力をPRするため、新しい福井駅や恐竜モニュメントを撮影して動画を制作し、修学旅行先で発表している学校もあります。編集はYouTubeなどを見ている子どもたちの方が上手ですね。
他にも、小学校の児童会で掃除の仕方や歯の健康を守るためのPR動画を作ってTeamsで共有し、子どもたちが動画を見に行く、というような事例もあります。
また福井市では全校児童1人という学校もあり、こうした場合は意見をまとめる体験ができないので、オンラインで他の学校や施設とつないで意見交換をすることもあります。遠い場所で移動が大変な場合でも、オンラインでの工場見学が可能です。

実現できたらと思っているのが、会社ごとにログインが必要なデジタル教科書を1つのプラットフォームにまとめること。どの教科でもここを窓口にログインできるようになると、非常に便利になります。学習Eポータルの発展形のイメージです。
子どもたちの支援アプリは充実してきている一方で、校務支援での利用は児童生徒の情報ファイルや名簿管理程度です。これを先生の勤怠管理に活用できると便利になるなと思っています。現在福井市では勤怠管理システムを市独自で導入しておりますが、福井県全体で教職員の働き方改革が進んでいけばと思います。教員の勤怠は複雑で、短時間の年休や土日の行事の振り替え、夏休みのフレックスや地域による始業時間の違いなどパターンが多く難しいとは思いますが、せっかくのICTを先生方の業務軽減にもどんどん活用できればと思います。

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