【iPad導入事例】<第4回 展望編>「GIGAスクール構想」福井市内の小中学校全74校、約2万台のICT端末(iPad)を導入

タブレットを見る女子学生のの写真

福井市教育委員会様

文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」は、新型コロナウイルス感染症の拡大により計画が早まり、行政や学校現場も対応に追われました。福井市教育委員会でも、市内の小中学校全74校、約2万台のICT端末を導入することになり、三谷商事がiPadを導入いたしました。

導入メンバー集合写真

(左から)

福井市教育委員会事務局長 学校教育課
指導主事  畑田 耕佑 氏

テクニカルソリューション部 辻 俊一郎

三谷商事株式会社 情報システム事業部
公共システム営業部  秋田 直希

【第4回】ICTと教育の展望

学校の中のICT活用は、今後ますます重要になってきます。それにより、学校や教師の動きや求められることも変化しています。

ICTは便利だけれど、導入にも、実際使う時にも時間がかかります。授業で端末を使用する際も、慣れるまでは準備に時間がかかりました。全員が端末を使えるようにするまでに、10分15分という時間が必要で、小学校の45分間の授業時間ではかなり厳しいものがあります。それでもコロナ禍で前倒しとなったGIGA第一期は、1人1台の端末を充足させることが大きな命題でした。しかしこれから始まる第二期は、より効果的な使い方の研究を求められるでしょう。1段も2段ハードルが上がった感じです。

タブレットを見ながら談笑する先生と生徒の写真

実際、iPadにより授業デザインは大きく変わりました。その場でアンケートの結果を集計し、投影できます。生のアンケート結果で必要な学習を明示できるのです。紙を1枚1枚隣の子と見せ合ったり1枚の写真を回したり集まって見ていたのから比べると、データの閲覧や共有が格段にしやすくなりました。こうなると、いろんな方向から授業をデザインできます。一方で情報の取捨選択も必要になります。
今までの授業方法を変えることは、先生にとっても大変です。しかしやりにくくなったり多少立ち止まることはあっても、将来を見据えると、強い意志で変えていかなければなりません。経験のある先生方の方が逆に負担が大きくなると思いますが、ここが我慢のしどころです。

情報教育は、さらに重要になります。中学では技術家庭科の中に情報学習の分野がありますが内容はまだ十分ではありませんし、小学校では全教科で情報活用能力を育んでいこうというのが文科省の方針です。福井市にはICTの環境整備をするGIGAサポーターはいますが、メディアや情報の活用の仕方を紹介するICT支援員はまだいません。支援員は学校の状況も知っている方でないと動きにくく、ITの知識があれば良いというわけではありません。現状は、限られた予算の中で知恵勝負になっていますが、遠回りなアプローチで余分な労力がかかるのは、誰にとっても不幸なこと。だからこそ、困った時に相談できる業者さんとの関係を築いておくことも大切だと思っています。例えばITの業者さんから教育現場に人を派遣していただくとか、逆に退職された先生方でICT人材となれるグループに教育していただくとか。規則など難しいこともあるのでしょうが、検討してもいい案件ではあるのかなと思います。

(秋田)

端末が充足して今後は情報漏洩などで先生や子どもたちを守るしくみや対処法も検討する必要があります。セキュリティに関して保険に入るなど、何かが起こる前に対応はしておくべきだと思いますが、そうしたことは一緒に考えられると思います。

取材を受ける男性の写真

GIGAもICTもここ5、6年で出てきたことで、学校も教育委員会も、まだ対応ができているとは言い難いです。特にリスクマネジメントはまだ研究段階です。これは専門家のお知恵をお借りしたいことですね。子どもたちのために頑張っている先生方に責任を背負わせるような事態は避けたいですから。
いずれにしても、市全体として情報教育を進めていくために、ルール作りは必要だと考えています。現在はそれがまだあやふやで、あっても現場の教員には伝わっていない部分がある。「これを見ればすべてわかる」というマニュアルを作り、全校に発信できればと思っています。このファイルで福井のICTがすべてわかるもの。決まり事だけでなく、これに管理台帳も含められたらいいなと思っています。

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