機械システムコース、電気電子コース、制御情報コース、都市環境コースの4つの分野で専門的な知識と技術が修得できる三重県名張市にある高等教育機関の近畿大学工業高等専門学校。こちらではコンピュータ室にChromebookを導入し、学生たちがさまざまな活用をしています。具体的にどのように利用されているのか、コロナ禍での使用法も含め政清先生と岩佐先生にお話を伺いました。
Chromebookを導入された経緯について教えてください。
もともと私はプログラミング教室で講師をしており、そこでChromebookを使っていたので、性能や使い勝手はわかっていました。本校に着任してからも研究室に6台のChromebookを導入し、卒業研究だけでなく近隣の小学校等でのプログラミング授業等でも活用していました。
そして半年前、本校にあるCAD・CAE・CAI・CAL という4つのコンピュータ教室のうちの一つ、CAE教室のパソコンを更新する話が持ち上がったのです。アクティブラーニングも視野に入れていた関係で、デスクトップではなくノートパソコンを検討していました。
他にも色々なノートパソコンがあるなか、なぜChromebookを採用されましたか?
導入の際、Windowsのノートパソコンも選択肢の一つにはなっていました。しかし60台購入するので、アプリをインストールしたりOSを更新したりするのに一台ずつ操作しなくてはならないのがネックになっていました。その点Chromebookなら一括管理ができるので、非常に魅力的だったのです。
また、これだけの数を一度に購入するということでコストをいかに抑えるかも重要なポイントの一つでした。そこで、低価格で購入できるChromebookを導入したという経緯です。
実際に導入してみて、どんなメリットが実感できましたか?
起動時間が非常に速いです。非常に古いパソコンですと、電源を入れてから学生がログインを完了して授業を開始するまでに10分かかることもありました。しかしChromebookは、学生が着席して操作を始めると、私が教壇で準備を終えるタイミングでもう使える状態になっているので、すぐに授業に入ることができます。
またChromebookを使うにあたりG Suiteも併用するので、そこでも色々なメリットがあります。例えば本校では授業評価アンケートや学校評価アンケートを行っているのですが、それにはGoogleフォームを活用しています。以前は別のウェブシステムを使っていて集計が大変でしたが、Googleフォームを使い始めてからかなり効率化しました。
Chromebook導入にあたりアクティブラーニングも検討されていたということですが、詳しくお聞かせください。
CAE教室に可動式の机を入れてそこでノートパソコンを使うことで、学生たちが自由に動けるようにしたいと思っていました。またアクティブラーニングをより本格的に行うため、Chromebook導入時にプロジェクターも6台入れて、全てにChromecastをつけたんです。
Chromebookと合わせてプロジェクターを導入した結果、どういった効果がありましたか?
これによって、教室で班にわかれてグループワークをするとき、班ごとにプロジェクターを使えるようになりました。画面共有することでメンバー間での情報共有や、プレゼンテーションなどがしやすくなりました。
G Suiteではドキュメント、スプレッドシート、スライドなどをグループのメンバーで共有しながら編集ができるので、その状況をプロジェクターに表示しながら授業を進めることで、グループワークも活発に行えるようになりました。
授業の中でどのようにChromebookを活用していらっしゃいますか?
工学実験やプログラミングの授業で利用しています。以前は、学校以外ではプログラミング言語の実行環境を用意するのが難しいという懸念がありました。しかしクラウドで動く環境が生まれて、学生たちは自宅でも同じように学習ができるようになったのです。Java言語の環境を自宅では整備できない学生も多かったのですが、それに比べて予習復習もしやすくなりました。
また、課題の提出管理などGoogle Classroomで行っています。Googleドキュメントでレポートを作成し、提出したものを教員がチェックするという流れです。G Suiteをあわせて活用することで多角的な指導を実現しています。
ChromebookはG Suiteとセットになっているのが強みなんですね。
はい、特に今回のコロナ禍では助かりました。本校では4月から遠隔授業をしていたのですが、Google ClassroomでHRの連絡を行っていますし、課題提出や実験レポート提出などもオンラインで完結しています。教員と学生のやり取りでも、Google Classroom上で「この資格の対策クラスを受けるにはこの教科書を使う、いつごろ試験がある」といった情報共有ができています。
遠隔授業はどのような経緯で始まったのでしょうか?
本校では新型コロナ感染症が広がり始めたことを受け、4月初旬までは自宅待機としました。しかしこのままでは年間カリキュラムをやり切れないということで、学生を登校させずに指導する必要があるという結論に至ったのです。
そこで各家庭に、パソコンはあるか、スマホは持っているか、Wi-Fi環境はあるかなどをGoogleフォームで調査して、なんとか遠隔授業ができそうだということがわかりました。そこで4月末から遠隔授業を開始したという流れです。そこからは、大きな問題もなく指導ができました。
遠隔授業はスムーズに開始できたのですね。
はい、ChromebookとG Suiteがなければ、遠隔授業ができたとしてもものすごく大変だったと思います。例えば学生全員分の課題をメールで一通ずつ受信して、ダウンロードして、添削して、またメールで送るというのは相当な手間ですよね。自前でサーバを立ててもダウンしてしまう可能性もありますし、Google Classroomで完結するのはありがたかったです。
学生からしてもG Suiteが使えるので、家庭にパソコンがない場合でもスマホからGoogleドキュメントを開いて、レポートを書いて提出できました。
4月から遠隔授業をされていたとのことですが、新入生の学生さんはどのように授業を受けていったのですか?
新入生には入学後、一度だけ登校してもらいました。そこで教えたのはメールアドレスとログインパスワード、それからGmailのIDとパスワードでGoogleにログインする方法です。それさえできれば学生は自分で色々と触ってくれるもので、課題の作成や提出などできるようになりました。
すでに様々な方法でChromebookを活用されていますが、今後やってみたいことはありますか?
現在、近隣の小中学校からご依頼いただきプログラミングの出張授業をしています。この活動を精力的にやっていきたいですね。また、こちらが伺うだけではなく小中学校の先生方にお越しいただいて、Chromebookを実際に触っていただくこともできると思います。
今、小中学校ではデジタルデバイスを導入したくても何を選べばいいか悩んでいることも多いようです。ですから実際に使ってみることで、機種選定のお手伝いができると思います。小中学校には機械や情報の専門家の方はいないと思うので、そこは本校が高等教育機関として地域貢献できる部分です。
御校は高等専門学校ですが、小中学校にもChromebookはおすすめでしょうか?
はい、小中学校や普通科の高校にとてもおすすめです。というのも、高等専門学校ですと、授業の中でWindowsやLinuxの環境が必要になるシーンもあるので、Chromebookだけを使っていくというのは現時点では難しい部分があります。
しかし、小学校のプログラミング授業や中高の一般的な情報の授業をしていくには、十分な機能を持っていると思います。他にもメリットがあり、例えばバッテリーの持ちがいいのも魅力的でしょう。
それに衝撃に強いという点も見逃せません。やはり学生が使用していると、ぶつけたり、落としたりといったことは避けられないのですが、壊れにくいので安心して使えます。
これからChromebookを導入しようと考えている学校へ、何かアドバイスをお願いできますか?
他のノートパソコンでも同じですが、Chromebookを導入するには学校のネットワークが整っていることが前提となりますし、その状況によっては性能を引き出しにくいこともあるでしょう。
例えばChromebook自体は起動のスピードが速くても、ネットワークが脆弱であれば結局ログインまでに時間がかかるということも考えられます。だから、アクセスポイントの選定などにも気を使うとよいのではないでしょうか。本体を購入することだけにとらわれず、より良い使用環境を整えることで、Chromebook本来の機能を発揮できると思います。
所在地:三重県名張市春日丘7番町1番地
TEL: 0595-41-0111
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設立1962年
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