「児童生徒に1人1台端末」を整備するGIGAスクール構想では、多数のIT機器やソフトウェアなどを導入しなければなりません。その一つが複数の端末を管理するためのツール「MDM」です。学習用コンピュータとして活用するためのMDMは、補助金の対象になるので学校のICT担当者としてはぜひ理解を深めておきたいところです。今回は、そんな方に向けてMDMの基本的な情報とポイントを解説します。
端末管理(MDM)ツールとは
MDMとは「Mobile Device Management」の略で、タブレットやスマートフォンのデータの保護や管理をするためのツールです。GIGAスクール構想では、多くの生徒が端末を利用するため、紛失やセキュリティ面のリスクに備えが不可欠です。MDMを導入することでそれらを一元化して効率的な管理が実現できるとして、近年、注目が集まっています。まずはMDMの基本的な機能を理解しておきましょう。
端末管理(MDM)の基本機能1:遠隔操作
一つ一つの端末のアクセスを遠隔操作で制限できる「リモートロックシステム」や「データの初期化」、などで、紛失した際の情報漏洩や端末の悪用を防ぎます。
端末管理(MDM)の基本機能2:コンテンツの管理
教材や課題などのファイルの管理のほか、端末を指定して配付できます。各端末にどのようなファイルやドキュメントが保管されているのかも確認できるので、端末が本来の目的以外で使われていないかも確認できます。また、アプリケーションや機能などの制限も可能です。
端末管理(MDM)の基本機能3:セキュリティ対策
全端末に統一したセキュリティーポリシーを共有できます。また、データの暗号化や画面ロックのほか、パスワードの認証を数回間違えて入力すると自動的にデータが消去される「ローカルワイプ」などのセキュリティ対策を効率的に行えます。
端末管理(MDM)ツールの導入のポイント
MDMは通信会社など様々な会社から提供されており、細かな機能や運用方法はそれぞれ異なります。そのため、GIGAスクール構想に取り組む自治体や学校は現在、将来の端末の利用方法や範囲、課題、求められるセキュリティレベルなどを明確にして、各ツールを選定しなければなりません。最も基本的なMDMを選ぶ際の3つのポイントを紹介します。
端末管理(MDM)ツールの導入のポイント1:対応プラットフォーム
まず、GIGAスクール構想取り組みで使用する端末のOSにどれだけ対応できるかを確認しましょう。文部科学省が仕様として提示している端末のOSは、「Microsoft Windows」、「Google Chrome OS」、「iOS」です。MDMにはAndroidやiOSのどちらかしか対応していないものもあるので、 導入予定のOSに対応しているMDMを導入する必要があります。この選定が不適切だと、システムの移管時に非常に時間がかかってしまうなどのデメリットが発生してしまいます。
端末管理(MDM)ツールの導入のポイント2:ツールの独自機能
先述したMDMの基本的な機能は、AppleやGoogleが公開している「API(アプリケーションインターフェイス)」に基づいて制御されます。そのため、標準機能はどのMDMでも大きな差はありません。機能面の差異は、各サービスの「プラスα」で生じると理解しておきましょう。ちなみに、各社の独自機能の例を以下でまとめたので確認してください。
■MDMの独自機能(例)
・違反検知時の自動メール通知
・各データのCSVインポート/エクスポート機能
・ジョブの実行数などをランキング化して現す「ダッシュボード機能」
学校ごとのGIGAスクール構想の取り組む内容に合わせて、業務の効率化や管理の簡易性の高い機能のほか、常に最新のOSやデバイスに対応できる更新性・拡張性を備えたMDMを選定しましょう。
端末管理(MDM)ツールの導入のポイント3:コスト
GIGAスクール構想においては補助金・助成金が受けられるとはいえ、MDMの導入には費用が発生します。継続して利用し続けられる価格帯の製品を選ばなければ、後々に行き詰まる可能性があります。また、同じサービスでも契約形態で費用が異なるほか、ライセンス料が発生するケースもあるので機能面などのバランスを考慮しなければなりません。
端末管理(MDM)ツールの導入のポイント
MDMの機能と3つの選び方のポイントを紹介しました。コストや機能など、MDMの導入のポイントはいくつもありますが、それらはMDMの利用用途を明確化し、それに対応できるセキュリティレベルを明らかにすることからスタートします。課外授業や自宅学習などGIGAスクール構想における端末の使い方は幅広く、各自治体や学校によって使い方は様々になると考えられます。足元をしっかりと固めてから、MDMを選定しましょう。
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資料の内容
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