電子情報を記録する重要性
昨今の教育現場ではGIGAスクール構想の影響もあり、Chromebookをはじめとしたモバイル端末の活用が急速に拡大しています。モバイル端末により教員や児童生徒がメールやチャット等で気軽にコミュニケーションが取れるのは便利だといえますが、その反面でそれらの機能を悪用しトラブルにつながってしまう危険性もゼロではありません。
そこで重要になってくるキーワードが、”電子情報の記録”です。電子情報とはその名の通り、コンピュータなどに保存された電子的なデータ(メールやファイル等)のことを指します。自身のメール内容などが記録されるということは、少なからずユーザーによる悪用を抑止する力にもつながっていきます。また、日常的にユーザーの電子情報を記録しておくことで、もしも問題が発生した場合に管理者が過去のデータを振り返ることが可能になります。
これらのことから教育現場でモバイル端末を利用する場合にも、電子情報を記録し保管するような仕組みを取り入れることが重要だといえます。しかし、具体的にどうすればそのような仕組みを導入することが出来るのかと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、Google Workspaceのサービスの一環として提供されている[Google Vault]に焦点をあてて、その機能について簡単にご紹介していきます。
Google Vaultとは
Google Vault について、Googleでは下記のように定義しています。
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Vault は Google Workspace の情報ガバナンスと電子情報開示のためのツールです。Vault を使用すると、ユーザーの Google Workspace データの保持、記録保持(リティゲーション ホールド)、検索、書き出しを行うことができます。Vault は次のデータに対応しています。
・Gmail のメール
・ドライブのファイル
・Google Chat のメッセージ(履歴がオンの場合)
・Google Meet の録画と付随するチャット、Q&A、アンケートのログ
・Google グループのメッセージ
・Google Workspace 版 Google Voice のテキスト メッセージ、ボイスメールとその音声文字変換データ、通話履歴
・新しい Google サイト ・従来のハングアウトのメッセージ(履歴がオンの場合)
https://support.google.com/vault/answer/2462365?hl=ja
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Google VaultはGoogle Workspaceの機能の一部ですので、すでにGoogle Workspaceを利用中の状態であれば、管理者は電子情報を記録する術を容易に導入することが出来ます。
利用するにあたっての注意点
まずGoogle Vaultで電子情報を記録保持するには、[デフォルトの保持ルール]や[カスタム保持ルール]、[記録保持(リティゲーション ホールド)]の設定をします。 なお、設定は[記録保持(リティゲーション ホールド)]>[カスタム保持ルール]>[デフォルトの保持ルール]の順に、[記録保持(リティゲーション ホールド)]が最優先されますので、設定する際はこの点に注意する必要があります。
参考までにデフォルトの保持ルールに関しては、以下の手順で設定値を確認できます。
1.管理者アカウントでGoogle Vaultにアクセスします。
2.[ホーム] ⇒ [保持] に移動し、[デフォルトのルール]タブを開きます。
3.Gmail等、各種サービスの設定を確認してください。
期限が[期限なし]の場合、無期限でデータを保持します。
その他詳細については下記のGoogleヘルプページを参照ください。
・組織向けに Vault を設定する
https://support.google.com/vault/answer/2584132?hl=ja
・データ保持の仕組み
https://support.google.com/vault/answer/2990828
・保持ルールや記録保持(リティゲーション ホールド)を管理する
https://support.google.com/vault/answer/3374023?hl=ja#zippy=
Google Chatの電子情報を確認する
では、具体的にGoogle Vaultでどのように電子情報を閲覧するのか、実際の管理画面を交えつつ[Google Chat]を例にして手順を確認していきましょう。
1.Google Vaultにアクセスし、[ホーム] -> [案件]に移動します。
案件がない場合は[作成]から案件を作成します。すでに有効な案件が存在している場合は、必要に応じて新しく案件を作成してください。
2.[ホーム] -> [案件]で、案件をクリックします。
3.[検索]タブを開き、サービスに[Chat]を選択します。
4.閲覧したいチャットに関する情報を入力し、[検索]をクリックします。
※特定のアカウント名や組織部門、キーワードなどで絞り込むことが可能です。
5.指定した情報に一致したチャットが表示されます。
チャットメッセージをクリックすることで、そのチャットの詳細を確認することが可能です。
※ユーザーがチャットを削除した場合、そのチャットは[削除済み]と表示されます。
その他サービスの例
つづいて[Google Chat]以外のサービスの電子情報を確認した場合、どのように表示されるのかを見ていきましょう。
以下は、案件の検索画面にて[Gmail]、[Googleドライブ]、[Googleグループ]を指定して検索した場合の表示例になります。
◆ Gmail
ユーザーが送信後にメールを完全に削除したとしても、管理画面では下図のようにメール内容が保持されます。また[システムラベル]の欄には、そのメールのステータス(例:削除済み、送信済み、ゴミ箱、開封済み、下書き、未読 etc..)が表示されます。
◆ Google ドライブ
ユーザーがGoogleドライブからファイルを完全に削除してしまったとしても、Vault管理者は下記のようにブラウザ上で元のファイルの中身まで確認できます。ファイルの種類によってはブラウザ上でのプレビューが失敗することがありますが、右上の[ダウンロード]からファイルを保存することで内容の閲覧が可能です。
◆ Googleグループ
ユーザー同士の会話が削除されていたとしても、Vault管理者はその内容を表示させることが出来ます。またGmailと同様に、[システムラベル]の欄には会話のステータスが記載されます。
まとめ
Google Vaultで電子情報を記録保持すると、たとえユーザーがデータの削除を行ったとしても管理者は削除内容まで追跡することが可能なことが分かりました。
問題が起こってからGoogle Vaultの記録保持設定を見直していては、重要な証拠が記録されず対応に影響を及ぼす恐れがあります。
すでにGoogle Workspaceをご利用されている方や今後Google Workspaceの導入を検討されている方も、この機会にGoogle Vaultの利用可否や設定について改めてご検討してみてはいかがでしょうか。
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