今や学校では、児童生徒一人一人がiPadやChromebookなどの端末を使って学習する時代となりました。
今回のコラムでは、iPad運用中の管理者の方にむけて、iPad、MDM(Jamf Pro)、ASMの卒業時に必要な操作をご紹介していきます。
卒業後の利用者を確認しよう
卒業時の必須作業をするにあたり、まず、卒業後のiPad利用者を明確にすることが重要です。
以下は、卒業後の主な利用者の例です。
新1年生が利用する | 学校がiPadを所有しており、卒業後は新1年生に端末が引き継がれるパターン |
卒業生が引き続き利用する | 卒業する児童生徒がiPadを所有しており、卒業後に譲渡することで端末を継続利用するパターン |
それぞれのパターンで卒業時に必要な処理も異なってきます。
それでは、次項からパターン別に卒業時の操作例を見ていきましょう。
パターン①:iPadを新1年生が利用する
まずはじめに、iPadを新1年生が引き継ぐパターンを確認していきましょう。
以下は、卒業生から新1年生に利用者が変わる場合の処理の一例になります。
1)iPadを新しいSiteに割り当てる
2)旧Site用のPrestage Enrollmentの割り当てを解除する
3)新Site用のPrestage Enrollmentを割り当てる
4)iPadのワイプ(初期化)
5)iPadのセットアップ
iPadの所属するSiteに変更がなければ、基本的にiPad内の卒業生のデータを消すためのワイプと、ワイプ後のセットアップを実施するのみです。
ここでは、多くの環境で実施する可能性の高い「iPadのワイプ(初期化)」と「iPadのセットアップ」に焦点を当ててご紹介します。
◆iPadのワイプ(初期化)
Jamf ProでワイプするiPadのデバイス管理画面を開き、[Management(管理)]⇒[Wipe Device(デバイスをワイプ)]をクリックします。
すると、以下のような画面が表示されます。
それぞれの画面で、[Wipe Device(デバイスをワイプ)]、[OK]をクリックすると、対象のiPadでワイプが実行され、端末内に保存されていたデータが消去されます。
◆iPadのセットアップ
ワイプが完了したら初期ウィザードを進めて、iPadのアクティベーションを行いましょう。
AppleのADEとJamf ProのPrestage Enrollmentの機能により、Wi-Fiに接続すると以下のように自動的にMDMサーバに登録され、設定された構成プロファイルやアプリなどのインストールが開始されます。
アクティベーション後は、環境にあわせて適宜手動でしなければならない設定(iPad名変更など)を行い、新1年生用の処理は終了です。
パターン②:iPadを卒業生が利用する
次に、iPadの譲渡により卒業生が継続して利用するパターンを見ていきましょう。
以下が卒業時に必要な操作例となります。
1)Prestage Enrollmentの割り当てを解除する
2)iPadのワイプ(初期化) もしくは iPadの管理を解除する
3)Jamf Proからデバイスを削除する
4)ASMでデバイスの所有を解除する
パターン①と異なり、iPadを組織の管理下から外すような処理が必須となります。
◆Prestage Enrollmentの割り当てを解除する
該当のiPadが所属するPrestage Enrollmentの設定画面で[Edit(編集)]をクリックし、[Scope(範囲)]で割り当てを解除するiPadのチェックを外して[Save(保存)]します。
※Prestage Enrollmentの割り当てを解除することで、iPadワイプ後のアクティベーション時に自動的にMDMに登録されなくなります。
◆iPadのワイプ(初期化) もしくは iPadの管理を解除する
iPad内には様々なデータが保存されています。
卒業生に譲渡する前に管理者が初期化する場合はiPadのワイプを、初期化は卒業生に委ねる場合はiPadの管理を解除する操作を行います。
Ⅰ)iPadのワイプ ※管理者が初期化する場合
パターン①と同様にJamf Proでデバイス管理画面を開き、[Management(管理)]⇒[Wipe Device(デバイスをワイプ)]をクリックします。
以下の画面が表示されたら、[Wipe Device(デバイスをワイプ)]、[OK]をクリックし、対象のiPadをワイプします。
Ⅱ)iPadの管理を解除する ※卒業生が初期化する場合
Jamf Proのデバイスの管理画面を開き、[Management(管理)]⇒[Unmanage Device(デバイスの登録解除)]をクリックします。
以下のような確認のメッセージが表示されたら、[Unmanage Device(デバイスの登録解除)]をクリックします。
※登録の解除により、iPadからMDMで配布したプロファイル等が削除されますが、設定に「このiPadは○○によって監視および管理されています。」といった表記が残ります。この表示を消すには、iPadを初期化する必要があります。
◆Jamf Proからデバイスを削除する
引き続き対象のiPadのデバイス管理画面にて、[Delete(削除)]⇒[Delete(削除)]をクリックし、Jamf Proからデバイス情報を削除します。
◆ASMでデバイスの所有を解除する
Apple School Managerにログインし、デバイス一覧から該当のiPadを選択して[組織から所有を解除]をクリックします。
以下のような確認のメッセージが表示されたら、チェックを有効にし[所有を解除]をクリックします。
※[組織から所有を解除]してしまうと、ADEが解除されてしまいます。
誤った端末で解除しないようにご注意ください。
これで、卒業時の処理は完了です。
iPadが管理下から外れ、以後卒業生が自由にiPadを利用できるようになります。
まとめ
以上、iPad管理下で卒業時に必要な操作をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
卒業時は普段行わないような操作も発生する恐れがあります。
今のうちにご利用の環境で必要な作業を洗い出し、年度末に備えておくことをおすすめします。
この他にもiPadやMDMでお困りの方は、三谷商事までお気軽にお問い合わせください。
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