Google管理コンソールから、ChromebookのOSを以前のバージョンに戻せるようになったことをご存知でしょうか?
今回のコラムでは、その方法などを解説していきます。
OSとは
そもそもOS(オペレーティングシステム)とは何かと簡単に説明すると、PCやスマートフォンなどに搭載されている基本となるソフトウェアのことを指します。
PCならばWindowsやmacOS、スマートフォンならばAndroidやiOSなどがOSに相当します。
これらのOSがあることにより、私たちはPCやスマートフォン上で様々な操作が行えるようになっています。
Chromebookでは「ChromeOS」というOSが使われており、これはAndroidと同じくGoogleが開発したOSです。
GoogleはChromeOSのセキュリティを保つために、約4週間ごとにフルアップデート、2~3週間ごとにマイナーアップデートのリリースをしており、新しいOSバージョンが配信されると、ChromeOSは通常自動的に更新されていきます。
【新機能】ChromeOSのロールバックとは?
定期的なOSの自動更新により、ChromeOSのセキュリティは確保されています。
しかし、OSのアップデートが原因で、時には思わぬ不具合(バグ)が生じる可能性もゼロではありません。
もしもChromeOSのアップデート後に、アプリが正常に動作しなくなるなどの現象が発生した時は、ChromeOSを以前のバージョンに戻す操作(ロールバック)が有効です。
2022年12月より、Google管理コンソールから管理下のChromebookのOSを以前のバージョンにロールバックできるようになりました。
これにより、Stableチャンネルの場合、現行の安定版から3世代前のバージョンまで戻すことが可能となります。
しかしながら、ver.106以前へのロールバックはサポートされておらず、本コラム執筆時点では、ver.107がロールバックできる最古のバージョンとなっている点に注意しなければなりません。
なお、長期サポート候補 (LTC)チャンネルや長期サポート (LTS) チャンネルについては、各チャンネルの現在のバージョンにのみロールバックできます。
※Chrome OSの長期サポート(LTS)については、こちらを参照ください。
https://www.mitani-edu.jp/column/077/
※ロールバックの詳細は、こちらを参照ください。
https://support.google.com/chrome/a/answer/12569990
管理コンソールでロールバックの設定をする
それでは、Google管理コンソールでどのように設定すれば、ロールバックができるようになるのかを見ていきましょう。
ここでは例として、Stableチャンネルのver.107へロールバックする方法をご紹介します。
1)管理コンソールにログインし、[デバイスの設定]画面にアクセスします。
2)[デバイスの設定]を変更する組織を画面左側から選択します。
3)[自動更新の設定]まで画面をスクロールし、[目的のバージョン]にてロールバックするバージョンを指定します。
※[デバイスでのOSバージョンの自動更新を許可]が、[アップデートをブロックする]になっている場合、[目的のバージョン]が表示されません。
4)[目的のバージョンにロールバック]にて、[OSをロールバックする]を選択します。
5)[保存]をクリックします。
以上で、ロールバックの設定は完了です。
Chromebookをロールバックしてみよう
Google管理コンソールでロールバックの設定をすると、ChromebookのOSを以前のバージョンに戻せるようになります。
ここからは、実際にChromebookをロールバックした際の挙動をご紹介していきたいと思います。
1)対象のChromebookにてOSのアップデート確認を行うと、ただちにロールバックが開始されます。
2)ロールバックの準備が完了すると、再起動を促すメッセージに変わります。
[再起動してリセット]をクリックすると、Chromebookが再起動して初期化されます。
3)以下は再起動後の[設定]画面です。
管理コンソールで指定したバージョンにロールバックされていることが確認できます。
≪補足≫
ここでは即時ロールバックを適用させるために、Chromebookの[設定]画面から手動でアップデート確認を行っています。
手動でアップデート確認を行わない場合は、適当なタイミングにバックグラウンドで自動的にロールバックの処理が開始されます。
なお、管理コンソールの[デバイスの設定]⇒[自動更新の設定]にて、下記のように分散設定をしている場合、ロールバックも分散されて実行されます。
・[展開スケジュール]:更新を分散させる
・[自動更新を複数の日に分散]:xx日間
ロールバック時の注意点
ChromeOSをロールバックする際は、まずテスト用の組織にて動作検証をして、問題ないことが確認できてから、組織全体などにロールバックの設定を施すことをおすすめします。
また、ロールバックすると、Chromebook本体に保存されたデータが消えてしまいます。
ロールバック前に、大事なデータはGoogle ドライブなどにバックアップするようにしてください。
OSアップデートによる不具合が解消されたら、管理コンソールでロールバック用の設定を元に戻し、ChromeOSが更新されるようにしましょう。
【応用】StableからLTCにロールバックする
これまで、Stableチャンネルから長期サポート候補(LTC)チャンネルに切り替える場合、StableチャンネルとLTCチャンネルのバージョンが一致しているか、以前のバージョンで固定されている時に限り、直ちにLTCチャンネルに切り替えることが出来ました。
つまり、Stableチャンネルのver.107やver.108がインストールされたChromebookでは、LTCチャンネルのver.108へ即座に変えられますが、Stableチャンネルのver.109になってしまっている場合、ver.114が利用可能になるまでLTCチャンネルに切り替えられませんでした。
しかし、ロールバック機能を使えば、StableチャンネルからLTCチャンネルへの切り替えもスムーズに行えるようになります。
まずは前述の手順を参考に、[デバイスの設定]にて以下のように設定を変更してください。
・目的のバージョン:xxx.*(長期サポート候補)
※本コラムでは、「108.*(長期サポート候補)」を選択しています。
・目的のバージョンにロールバック:OSをロールバックする
・リリースチャンネル:長期サポート候補チャンネル
上記設定により、Stableチャンネルのver.109からLTCチャンネルのver.108へとロールバックされ、ver.114のリリースを待たずともLTCチャンネルへと切り替えることができます。
まとめ
ChromeOSのロールバック方法についてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
セキュリティ的には、OSは最新バージョンにして運用することが望ましいといえます。
しかし、万が一アップデートによって普段使用しているアプリが正常に動かず、授業に支障が出てしまうような状況になってしまった場合は、ChromeOSのロールバックをおすすめいたします。
また、今回のロールバック機能の追加により、長期サポートチャンネルへの移行も容易になりました。
現状、Stableチャンネルをご利用中で、長期サポートチャンネルへの移行を検討されている方は、この機会にロールバック機能がどんなものなのか試されてみてはいかがでしょうか。
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