現在、多くの教育現場では、ChromebookやiPadなどのモバイル端末を児童生徒が一人一台所持しています。
これにより、教員と児童生徒が電子データで課題のやり取りをする機会が、これまでと比べて格段に増えたのではないでしょうか。
今回は、Google Workspaceをご利用中の方々に向けて、Google ドライブやGoogle Classroomを使った課題提出用の共有フォルダ運用術について、2回のコラムに分けて解説していきます。
一般的なファイルの共有方法とは
人とデータの受け渡しをする時、一般的にUSBメモリに保存する方法やメールに添付して送信するといった方法などがあります。
しかしながら、これらの方法では、共有後にファイルの更新を行ってしまうと再度共有の操作が必要となり、やり取りする相手が大人数になればなるほど手間がかかってしまいます。
そのような場面で有用なのが、「ファイルサーバー」です。
ファイルサーバーを導入しておけば、ネットワーク上の共通の保存領域にファイルをアップロードするだけで、他のユーザーと簡単にデータの共有を行うことが出来ます。
また、アクセス権の設定をすることで、例えば教員は生徒全員のファイルにアクセスできるが、生徒は他の生徒のファイルにはアクセスできないといった運用をすることも可能です。
この通り、ファイル共有に便利なファイルサーバーですが、導入するとなれば別途費用がかかります。
しかし、Google Workspaceの機能である「Google ドライブ」や「Google Classroom」を使えば、追加のコストをかけずに、教師と児童生徒で簡単にファイル共有が行えるようになります。
Googleドライブを課題提出用フォルダとして運用するには?
「Google ドライブ」は、Googleが提供しているオンラインストレージサービスです。
教育機関向けの無償エディションであるGoogle Workspace for Education Fundamentalsでは、通常組織全体で100TBまで保存が可能です。
Googleドライブで、
・教員は生徒のファイルを読み書きできる
・生徒は書き込み権限のみで、他の生徒のファイルを見ることはできない
といった運用を行うには、共有ドライブの「投稿者」権限を使って、適切なアクセス権を付与することで実現可能です。
本コラムでは一例として、
・クラス用の共有ドライブを作成
・その配下の生徒用の個人フォルダを作成
・各個人フォルダに「投稿者」権限で生徒を追加
・課題としてOfficeファイルを使用
した場合の挙動をご紹介していきたいと思います。
事前準備:共有ドライブの設定
事前に以下の手順のように、Googleドライブにて共有ドライブの設定をします。
※本手順では、生徒同士でのファイルの上書き等を防ぐため、生徒ごとに個別の専用フォルダを作成しております。
※運用により上書きを防止できるようであれば、生徒全員で共通の提出用フォルダをご利用いただくことも可能です。
1)教員アカウントで共有ドライブを作成します。
2)作成した共有ドライブ内に、各生徒用のフォルダを作成します。
3)生徒用フォルダを選択して、[共有]をクリックします。
4)共有相手に生徒1名を追加し、権限を[投稿者]として共有します。
5)手順3,4を繰り返し、すべての生徒用フォルダにアクセス権を付与します。
生徒の画面
◆共有フォルダの表示場所◆
共有されたフォルダは、[共有アイテム]の画面に表示されます。
自分に権限が割り当てられたフォルダのみ表示されるので、他の生徒の共有フォルダを閲覧することは出来ません。
◆新規ファイルやフォルダの作成◆
共有フォルダに対し、新規フォルダの作成やファイルのアップロードが可能です。
◆ファイルやフォルダの削除◆
ファイルやフォルダを削除しようとしても、[ゴミ箱に移動]がグレーアウトしていて選択できず、生徒が勝手にファイルを削除してしまうのを防止します。
教員の画面
◆共有フォルダの表示場所◆
生徒と異なり、[共有ドライブ]に共有したフォルダが表示され、各生徒のフォルダにアクセスが可能です。
◆新規ファイルやフォルダの作成◆
共有フォルダに対し、新規フォルダの作成やファイルのアップロードが可能です。
◆新規ファイルやフォルダの作成◆
生徒では制限されていたファイルやフォルダの削除も、問題なく行えます。
注意点
共有フォルダに同名のファイルがある状態でファイルをアップロードしようとすると、[アップロードオプション]が表示されます。
[両方のファイルを保持する]を選択すると、ファイル名の後ろに「(1)」が付いた形でアップロードされます。
しかし、[既存のファイルを置き換える]を選択すると、元のファイルが後にアップロードしたファイルに置き換えられてしまいます。
オンラインではなくローカルにダウンロードして編集する可能性のあるOfficeファイルなどを課題とする時は、事前に注意喚起をして生徒が誤ってファイルを上書きしてしまわないようにしましょう。
万が一、同名ファイルをアップロードして置き換えてしまった場合でも、[版を管理]から上書き前のファイルをダウンロードすることができます。
まとめ
最後に、Google ドライブの共有フォルダにおける教員・生徒の挙動の違いをまとめました。
教員 (権限:管理者) | 生徒 (権限:投稿者) | |
ファイル/フォルダの作成 | ○ | ○ |
ファイル/フォルダの削除 | ○ | × |
他の生徒のファイルが閲覧できるか | ○ | × ※共有設定による |
1つのフォルダに対し、生徒1名を「投稿者」権限で共有相手とすることで、生徒によるファイルの削除や他の生徒のファイルの閲覧を制限することが可能です。
課題の提出場所としてGoogle ドライブの活用を検討される際は、本コラムの内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。
次回は、Google Classroomを使って課題の共有をする場合の運用方法をご紹介します。
https://www.mitani-edu.jp/column/121/
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