e-Sportsってどんな業界?選手の一日や市場規模を解説!

公開日:2023/08/07
最終更新日:2023/08/07

三谷商事は、e-Sportsチーム「Human Academy CREST GAMING」のスポンサーを務めています。先日、チームのマネージャーが日出学園にて特別講義を行ったので、その様子をお届けします。e-Sportsについてよく知らない方や、具体的にどのような活動をしているか知りたい方など、ぜひご一読ください。

【講師】
黒田俊平
ヒューマンアカデミー株式会社 全日制教育事業部 e-Sports営業部 エグゼクティブマネージャー
大学卒業後、2004年にシステムエンジニアとしてのキャリアをスタート。1年間のオーストラリア留学を経て、株式会社リクルートコミュニケーションズに入社し、広告業に携わる。2013年にヒューマンアカデミー株式会社に入社し、2020年4月にe-Sportsカレッジを立ち上げる。

e-Sports の市場規模は2018年から右肩上がり

まずは、e-Sports を取り巻く国内外の現状についてお伝えします。e-Sportsとは、コンピューターやゲーム機器を使って行う対戦型ゲームです。ゲームすべてがe-Sportsに分類されるわけではなく、たとえばドラゴンクエストシリーズはe-Sportsではありません。これはプレイヤーが一人でレベルを上げミッションをクリアしていく方式で、「対戦」が発生しないためです。プレイヤー同士が対戦し、勝敗が決まるゲームのみe-Sportsと呼ばれます。

e-Sportsの中でも日本で特に人気が高いのがApex LegendsやFortnite などのFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム、First Person Shooter)で、これは一人称視点で行うゲームです。一方、世界に目を向けるとMOBAが人気を博しています。これはマルチプレイオンラインバトルアリーナ(=Multiplayer Online Battle Arena)の略称で、プレイヤーが2チームにわかれ陣地を取り合います。それ以外のジャンルでも、STREET FIGHTERシリーズやShadowverse、グランツーリスモなどが多くの方にプレイされていま

e-Sportsと一般的なスポーツの市場を比較すると、たとえばApex Legendsは世界で1億人以上がプレイしています(出典:Apex Legends 公式Twitter)。Fortniteのプレイヤーは3億2000万人に上ります(出典:Fortnite 公式Twitter)。
それに比べてサッカー人口は世界で推定2億6000人、野球は世界で推定3200万人、ラグビーは世界で推定260万人と言われています。

非常に大きな盛り上がりを見せているe-Sportsですが、日本でe-Sports 元年と呼ばれているのは2018年で、まだ歴史は浅いです。しかしそこからは勢いよく成長し、2018年に48億円だった市場規模が2023年現在は129億円になると言われています。(※1)
しかし、日本は海外に比べるとまだ成長の余地を大きく残しており、2021年の日本の市場規模が78億円だったのに対し、世界では1500億円超(10億8410万ドル。1ドル=140円換算で1517億7400万円)を記録しています。(※2)
特に中国、韓国、アメリカは市場規模やプレイヤーの強さでも圧倒的で、日本は今、これらの国と肩を並べられるよう切磋琢磨しています。

※1
出典:一般社団法人日本 e スポーツ連合/角川アスキー総合研究所「日本eスポーツ白書2022」
※2
出典:角川アスキー総合研究所「グローバル eスポーツ&ライブストリーミング マーケットレポート2021」

ゲームのプレイから地域活動まで幅広い仕事に取り組む

次に、e-Sportsプレイヤーについて解説します。どこかのチームに所属してプロの選手になるルートはいくつかありますが、専門学校に通ってスキルを身につけるのはメジャーな方法の一つです。ヒューマンアカデミーでは2020年4月からe-Sportsの学科を開講し、それに伴い同年7月にからCREST GAMINGというチームを設立しました。現在、League of Legends、Rainbow Six Siege、Valorant、Fortniteのチームがあります。そのほかにStreamerといって、配信をするメンバーもいます。

選手の年齢はさまざまですが、一般的にe-Sportsでは若い方が有利だと言われています。これはe-Sportsでは反射神経が重要になるためで、実際にFortniteの世界大会では16歳のプレイヤーが優勝し、賞金3億3000万円を獲得しました。

CREST GAMINGなどのチームに所属しプロの選手になると、ゲームをして腕を磨くことが主な仕事になります。チームのミーティングに参加することも重要です。ゲームをプレイする以外にも仕事はあり、例えばチームやスポンサー企業の広報活動、ファンサービス、動画企画と配信などを行います。

広報活動は、例えばゲーミング用マウスを作っているメーカーから依頼を受けて、動画の中で宣伝したり、紹介動画を企画・撮影し、配信したりします。製品の共同開発を行うこともあり、CREST GAMINGではALLONEというゲーム&スマホ関連アクセサリ販売を主とするメーカーとゲーミングデスクを共同開発しました。
参考URL:https://140-041.co.jp/product/alg-gmdel110

また、社会貢献活動にも取り組んでおり、先日は埼玉県川口市でシニア向けのe-Sports体験会を行いました。e-Sportsをすると認知症の予防になることが立証され始めていることを背景に、アクティブシニアの方を対象にゲームをプレイしてもらいました。最近では、e-SportsのゲーミングPCを用意している介護施設もあるそうです。

選手たちの1日は、一般の方とは大きく異なります。
あくまでも、ある選手の一例ではありますが、例えば大会に出場する日を例にすると、16時に起床し、ウォーミングアップやイメージトレーニングをします。18時から大会が始まり、21時に終了。食事を取ったら、個人練習をします。休憩をとってお風呂に入り、25時から練習を再開。9時頃就寝します。基本的に、1日12時間はゲームをします。はたから見ると遊んでいるように思うかもしれませんが、彼らにとってゲームをプレイすることは遊びではなく練習です。

選手以外にも営業や企画など一丸となってチームを構成

次に、e-Sportsチームの運営についてご紹介します。e-Sportsチームには選手以外にも多くの人材が関わっています。ゼネラルマネージャーは総監督として、チームの方針を決めたり計画を立てたりします。営業は、チームのスポンサー企業を探します。企画担当は、イベントやグッズの企画を立てることが仕事です。SNS担当は、チームや選手のフォロワーを増やすため、投稿を考えたりSNS企画を考えたりします。

e-Sportsが注目を集めるようになってから、市場規模は拡大し続けています。とはいえ、まだ歴史も浅く始まったばかりの業界です。非常に魅力的な面が多いので、ぜひ「e-Sportsに関わりたい」という方が増えたらと思っています。

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