iPad OSの便利な機能「Return to Service」のご紹介

公開日:2024/12/16
最終更新日:2024/12/16

[Return to Service]は「卒業生のiPadを新入生に貸与する」といったGIGAスクール構想で調達されたiPadの運用などに最適な機能です。MDMと連携してiPadの初期化後の再登録を速やかに行ってくれる機能になります。
今回ご紹介する[Return to Service] は、MDMと連携して使用する機能です。Jamf Proの画面を例に交え詳しく解説していきます。

iPadの初期化後の再登録が自動化 [Return to Service]

iPadの初期化後の再登録(キッティング)作業が自動化される、アプリ[Return to Service]がiPadOS17によってリリースされました。
これまで年度末の更新作業を担当していれば、iPadを初期化、キッティング(再登録)するのはいろいろ確認事項があって大変だったと感じていた方も多いのではないでしょうか?

実際に、以前の再登録で表示されていた画面を書き出してみます。
・こんにちは
・ ⾔語の選択
・ 国または地域を選択
・ 外観
・ 文字入力および音声入力の言語
・ Wi-Fiネットワークの選択
・ Wi-Fiパスワードの入力
・ MDM登録画⾯

これをiPadごとに設定するのですから、多数のiPadを一度に初期化するとなれば大変労力を使う作業でした。[Return to Service]によってiOSの再登録が改善され大幅に簡略化されました。

また、初期に必要だったWi-Fi情報もあらかじめMDMに登録しておくため、Wi-Fiのパスワード情報を知らせずに初期化が可能になりました。パスワードの手入力によるパスワード漏洩を回避できるようになり、安全性も高めることができるようになりました。

[Return to Service]を利用するために必要なMDMの設定

[Return to Service]を利用する為にはアプリを配信する必要があります。ただアプリの配信設定をすれば終わりというわけではありません。
必要な設定項目としては次のようなものがあります。
Jamf Proの画面を見ながら必要な設定を確認してみましょう。

【事前準備】大まかなものとして以下の設定が必要です。
1.APIの設定
2.Wi-Fiの事前登録
3.アプリの配布設定
4.アプリ実行時の画面ロック(Single App Mode)

1.APIの設定

[設定] ‐ [システム] ‐ [APIロールとクライアント]
表示名を「Return to Service」に設定して実行するコマンドを設定する。

2.Wi-Fiの事前登録

[デバイス] ‐ [構成プロファイル] ‐ [Wi-Fi] に自動接続の登録をする。

3.[Return to Service] アプリの配信設定

[デバイス] ‐ [モバイルデバイス App] ‐ [Jamf Return to Service]配布するアプリの設定をする。

4.アプリ実行時の画面ロック(Single App Mode)

[デバイス] ‐ [構成プロファイル] ‐ [シングルAPPモード] に[Return to Service]を展開したら他のアプリやタッチ操作などを無効にする設定を登録する。

[Return to Service]を使用するための条件

[Return to Service]を使用するためには、以下の条件が必要です。

【条件】

1)iPadOS17以降であること
iPadOS17でリリースされた機能ですので、それ以上のOSのバージョンである必要があります。

2)Jamf Pro10.50.0 以降であること
Jamf Proも同様です。iPadOS17に対応した状態である必要があります。

3)Return to Service 用に登録したWi-Fiと接続可能であること
初期化後の設定を省くことができるようにあらかじめWi-Fiの設定をJamf Proに登録しておきます。そのため、該当するWi-Fiに接続できる状態でないと自動で再設定ができません。

4)自動デバイス登録の設定が完了している
ワイプを実行したときに、自動でデバイスが再登録されるのであれば問題ありません。
もしもこの設定ができていない場合は、管理者による設定変更が必要になります。

5)[Return to Service]が配布してあること
[Return to Service]はワイプのようにMDMからの管理操作ではなく、通常のアプリと同じ操作性で使用できます。アプリと同じように、使用したいデバイスに[Return to Service]を配布します。

新機能[Return to Service]を使う

[Return to Service]を使用してみます。

展開するとResetボタンが表示されるのでタップします。

5秒のカウントダウン(途中キャンセルができます)の後、Successと表示され、初期化後に自動で再登録が実施されます。
操作方法はこれだけです。簡単ですね。

この後、黒い画面に切り替わり、Appleのロゴと作業バーが表示され、iPadがサイレントインストールされます。初期化と再登録が完了すると、デバイスのホーム画面が表示されます。

アプリと同じ操作性ですので、[Return to Service]を使用したいときには事前に配布する必要があり、初期化した後にアプリは残っていません。再配布しないとアプリは他のデータと一緒に削除されます。

「あらかじめ[Return to Service]をインストールしておきたい。しかし、間違って初期化されるのではないかと心配だ」という場合は、Jamf Proでパスコードを設定することができます。
[Return to Service]をタップしてもパスコードが要求されるので、うっかりタップしてしまっても実行されることはありません。
年度末以外は、パスコードの入力画面が表示されるようにし、年度末になったらその分の設定のみ削除すれば間違って[Return to Service]を実行されることはありません。

年度末のタブレット再登録の手間が格段に減ることになり、操作の手間が省けることで作業担当者の負担が軽減されます。
iPadの初期化・Jamf Proへの再登録が自動化される新機能[Return to Service]により、これまで多数の初期設定をする必要があった再登録がゼロタッチで行えるのです。

いかがでしたでしょうか。iPadOSには新しい機能がリリースごとにたくさん追加されています。
今回の[Return to Service]以外にも使いたい機能はたくさんあると思います。
iPadやMDMなどでお悩みのある方は、三谷商事までお気軽にご相談ください。

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